DBSはオフやジスキネジアを抑えて薬の効果を高める治療ですから、パーキンソン病になってある程度経ってから導入されることになります。ではどのようなタイミングで、どんな時にDBSを考えるとよいのでしょうか。
個人差もありますが、パーキンソン病になって3〜5年は薬治療でコントロールできる時期があると考えられています。その後にオフやジスキネジアが出始めます。また、パーキンソン病と症状は共通しているものの実際には異なるいくつかの病気があり、パーキンソン症候群と呼ばれますが、この場合にはDBSは大きな効果をもたらしません。パーキンソン病とパーキンソン症候群の見極めには、治療をしながら5年程度経過を見ることが役に立ちます。ですから、発症からの時間としては5年以上と考えられます。
一方、オフやジスキネジアの根本的な原因は、パーキンソン病の進行そのものです。したがって、一度オフやジスキネジアが出現したら、自然と消えることはありません。薬で調整をして十分にオフやジスキネジアが軽くなってその後もコントロール出来ればよいのですが、ぶり返した時には再度調整してもまたぶり返す可能性が高いことになります。
このようなことから考えると、パーキンソン病の症状が出てから5年以上経っていて、オフやジスキネジアが薬調整の後も再発してしまった時が一つのタイミングとして考えられるでしょう。
DBSが役に立ちそうか、あらかじめ予想することはできるのでしょうか。現在、DBSの「お役立ち度」を予想するのに最も役に立つのは病気になった年齢との関係だと考えられています。DBSの効果は若い患者さんのほうが高いことが分かっています。一方、若い患者さんでは早期からオフやジスキネジアが出やすいこともよく知られています。したがって、若いうちにパーキンソン病になった患者さんの方が、高齢になってパーキンソン病になった患者さんよりもDBSの「お役立ち度」は高いことになるのです。具体的には、
病気になったのが65歳以降の場合: DBSをする必要性は低いでしょう。生活に困るようなジスキネジアでどうしても困る場合だけ、75歳以前に考えるといいでしょう。
病気になったのが55〜65歳までの間: 薬による治療で十分な可能性が高いですが、発症後10年以内にオフ症状やジスキネジアが出現して、薬でコントロール不十分な場合に考えるといいでしょう。
病気になったのが55歳以前の場合: DBSが役に立つ可能性が高いので、オフ症状やジスキネジアで仕事や社会生活をあきらめる前に考えるといいでしょう。